クリープ現象は必要か
クルマに詳しくない方に、まずは「クリープ現象」のざっくりとした説明です。
エンジンとタイヤの間には回転数を変換するトランスミッション(変速機)が介在しており、自動と手動、オートマチックトランスミッション(AT)とマニュアルトランスミッション(MT)に分けられます。
ATにもいくつか方式があり、一時期(今も?)主流であったトルクコンバーター式には、アクセル操作をしていなくても微速前進する「クリープ現象」が構造上発生します。
今の技術ならトルクコンバーター式でもこの現象を無くすことは可能だそうですが、自動車教習所でも習うことだし、この微速前進を上手く使うと色々と便利ということで、今やクリープ現象の発生しないATでもメーカーがわざわざ擬似クリープを付加するという流れになっています。
「デュアルクラッチトランスミッションは、なぜクリープする?」 - webCG
一方、世間ではアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故が多発しているそうで、その主な理由が「停止中に意図せずクルマが動き出したので慌ててペダルを踏んだらアクセルだった」ということらしく、近年発表されるペダル踏み間違い防止技術も基本的には停止〜時速30キロ以下で動作する前提のようです。
障害物なくても踏み間違い抑制 トヨタ、夏に機能追加 :日本経済新聞
悲惨な事故を撲滅せよ これが2020年夏に出るトヨタの運転支援システムだ - webCG
このペダル踏み間違い事故、MT車では基本的には起こり得ない事故だというところまで考察は行き着いているのに、なぜか「クリープ現象を無くすべき」という論調に一切なっていないようです。
検索してもそういう記事は出てきません。
クリープ現象に焦る人も?AT車で踏み間違い事故が多発するわけ - ライブドアニュース
少し脱線しますが、19年の池袋の暴走事故はクリープ現象は無関係で、同列で話すのは間違いです。そもそも足の悪い人が運転をするな、という。
時速96キロで母子はねる 池袋暴走で元院長を在宅起訴 :日本経済新聞
踏み間違い事故の減少に向けて、色々と研究や提案がされているのがウィキペディアにも載ってました。
そんなこんなで、わたしはかなり前から「アクセルを踏んでないのに勝手に前に進むクリープ現象ってトルクコンバーター式オートマチックトランスミッションの発明当初の問題が正当化されただけの、つまり欠陥なんじゃないの」という持論を持ってるんですが、この話をクルマの分かる人に話すと全員に「何言ってんだお前クリープなかったら不便だろ」と反論されます。「欠陥とはなんだ!」となぜか憤る人もいました。
アクセル踏んでないのに勝手に前に進むのって危なくないですか? 少なくともわたしは母のクルマを運転中に渋滞にはまった時に追突しかけてヒヤリとしたことがあります。
わたし自身は長年、初代MCCスマート(Smart450)のシングルクラッチ式セミATに乗っており、このトランスミッションにクリープ現象は無いのですが、何一つ不自由を感じません(乗り味はともかく)。
クリープ現象って、ペダル踏み間違い事故の原因のひとつとなっているのに、後付けしてまで要るほど便利なものなのでしょうか。疑問。
長々と書きましたが、つまり言いたいのは、Smart450にまだまだ乗りますということ(論点ぼかし)。